ドラマ「コウノドリ2期」第1話の赤ちゃんの病名「心室中隔欠損」の図付きの詳しい解説!心臓に穴が開いてしまう病気で、ダウン症の合併症の場合も。赤ちゃんのエコー検査や生まれてからの検診でわかる場合もあります。
人気漫画が原作のドラマ「コウノドリ」の続編・2期である「コウノドリ2」が17年10月より放送されました。
第1話で高橋メアリージュンが演じる「佐野彩加(さのあやか)」の赤ちゃん(みなみちゃん)がお腹にいる胎児の時に診断された病名は「心室中隔欠損症」でした。
「心室中隔欠損症」とは
などについてみていきましょう。
※必ず、医師の診断をうけ、医師と相談することをおすすめします。
「心室中隔欠損症」とは、簡単に言うと、
★心臓に小さな穴が開く疾患・病気の症状
になります。
下の図のように心臓は、それぞれ、右心房・左心房と、右心室・左心室の、合計4つの部屋に分かれています。
通常は、右心房・左心房とは壁があり、つながっていません。
また、右心室・左心室も壁があり、つながっていません。
ところが、「心室中隔欠損症」の赤ちゃん・子供は、
★心臓の下半分にある右心室・左心室の間にある心臓の壁に穴が開いてつながっている疾患・病気
なのです。
「心室中隔欠損症」の赤ちゃん・子供の心臓を図で見るとこんな感じです。
心室中隔欠損症の穴は、出来る場所も大きさも患者さんにより様々です。
分類では、心臓に空いた穴(欠損孔)の大きさや、部位などによって分けられます。
★欠損孔の大きさによる分類
★場所・部位による分類
難しいですが、ウィキペディアによりますと、
★Kirklin-I型:高位欠損、漏斗部欠損、欠損孔が中隔壁の上方に位置しており、大動脈弁右冠尖に近いことから、弁の逸脱から大動脈弁閉鎖不全症を呈する恐れがある。アジア系民族では、全心室中隔欠損症の約30%を占める。
★Kirklin-II型:膜様部欠損型。頻度は最多で、自然閉鎖の傾向が強い。
★Kirklin-III型:心内膜床欠損型。頻度は最少である。ダウン症候群に合併する頻度の高い心奇形のひとつである。
★Kirklin-IV型:筋性部欠損型。頻度は少なく自然閉鎖例が多い。(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E5%AE%A4%E4%B8%AD%E9%9A%94%E6%AC%A0%E6%90%8D)
となっています。
上にありますとおりKirklin-III型は、ダウン症候群と合併することが多いとのことです。
まず、血液には、
があります。
左心室から、体のすみずみへ動脈血が送られるのですが、
右心室・左心室がつながっていると、
酸素の少ない血液が混ざってしまい、体へ運ばれてしまうのです。
そのため、症状の程度にもよりますが、
正常な子供と比べて
の症状が出ることがあります。
また、酸素濃度が薄いため、心臓や肺へ送る血液量を増やす必要があるため、
血液を送り出す左室や右室が肥大することがあります。
心電図で、左心室肥大・右心室肥大がある場合は、この心室中隔欠損症の疑いもあります。
(ちなみに、頻繁に激しく運動を行う方にも心室肥大は起こります。)
軽度の場合は、ほとんど自覚症状がありませんが、中度・高度(重度)になると自覚症状が現れることが多いとのことです。
強心剤と利尿剤を使い、心臓の機能を強くします。
軽度であれば、自然治癒する場合も多く、経過観察する場合もあります。心肺機能など、全身の状態をよくしてから手術を行う場合が一般的です。
「心室中隔欠損症」は、産まれた後、新生児検診や、乳児検診で発見されることが多いです。
などがあります。
コウノドリの続編コウノドリ2の第1話では、先天性の心臓疾患であり、「心室中隔欠損症」は赤ちゃん・子供の100人に1人(1%)の割合で産まれてくる、よくある病気であると解説されていました。
厳密なデータですと、1000人に3人の割合(0.3%)との報告があります。
また、自然治癒や、治療、亡くなってしまう等の理由で、成人しても入院して治療しているのは15%とのことです。
小さな穴の場合は、成長と共に自然治癒することがあります。
統計データでは、「心室中隔欠損症」の赤ちゃんの約半数の子供の心臓の穴が、生まれてから1年以内に自然閉鎖するというデータがあります。
1年後から閉鎖する確率が減っていき、2歳を過ぎても閉鎖しない場合は、自然閉鎖・自然治癒の可能性はまれとのことです。
医師の診断と判断、親や本人の希望にもよりますが、手術することが多いのは、
です。
悩む期間を短くしたいとの希望から、年々低年齢化しているそうです。症状が重度の場合は1歳未満でも行うとのこと。
ただ、軽度であれば1年以内であれば自然に閉鎖する場合もあるため、自然治癒の可能性が低くなってくる2歳~4歳頃が多いようです。
年々、技術の進歩と、医師の方々の努力により、
近年の「心室中隔欠損症」の手術の成功確率は95%以上となっています。もちろん、穴の程度や場所、穴の数などにより、成功確率は大きく変わってきます。
上で挙げたような症状を観察しながら、医師の先生と相談の上、どのくらい運動してよいか、どんな薬を服用していくか、手術をした方が良いかなどを検討していくとよいようです。