子供の感覚過敏~におい・光・音に敏感な原因対策治療法~発達障害との関連は?

お子さんが普通なら気にならないような日常生活のを嫌がったり、ちょっとした光を眩しがるにおいに敏感すぎるといった場合「感覚過敏」の可能性があります。
子供が「音・光・におい」のような感覚に敏感・過敏となってしまう原因と対策や治療法をご紹介します。

子供の感覚過敏は様々~過敏と鈍麻

感覚には「過敏」と「鈍麻」があります。「鈍麻(どんま)」とは、にぶいことです。

誰にでも表れる症状ですが、特に発達障害を持つ子供には、

★感覚がするどい「過敏」や
★感覚がにぶい「鈍麻」

の症状が表れることが多くあります。

・視覚(目)
・嗅覚(鼻)
・聴覚(耳)
・味覚(口)
・触覚(手)

 この五感で感じる感覚は子供それぞれ一定ではありません。

特に問題となるのは、これらの刺激に「過敏」に反応してしまう場合です。
・刺激を避けるため、極端に物や人などを避けるようになってしまいます。

本ページでは主に、感覚過敏について解説します。

また、あまりにも感覚に「にぶすぎる」場合も問題になります。
例えば、
・触覚や、痛覚が鈍いと、体が防衛反応を行わず、大けがにつながることもあります。
・刺激が物足りず、どんどんと強い刺激を求めていってしまいます。

感覚異常の子供には、何かしらの支援や対策、治療が必要となってきます。

子供の感覚過敏の原因は?

子供の感覚過敏の原因は様々あります。

感覚過敏は「子供の我慢が足りない」思われがちですが、そうでない場合も多くあるので注意が必要です。

発達障害の子供に多く見られる症状であり、生まれながらの脳や脊髄の障害であることもよくあります。
★耳や目、鼻や舌、肌といった「感覚を受け取る部分」の問題
★受け取った感覚を電気信号として「伝える部分」の問題
★受け取った電気信号を脳や、せき髄などで「処理する部分」の問題
などが考えられます。

子供の感覚過敏~視覚過敏(目)~

視覚過敏では、子供はどのような刺激を受けているの?症状は?

視覚過敏の症状を持つ発達障害の子供たちは、一般の子供たちと違う見え方をしています。

特に、光の刺激を過剰に受け取る子供が多いと言われています。

特徴としては、

・見える景色がすべて光って見える。
・ライトがまぶしくて、標識などが見えない。
・光がまぶし過ぎて、吐き気や頭痛がする。

などがあります。ただ、これらは、症状のほんの一例にすぎません。

この他にも、目から入る情報が多すぎて混乱する、文字が歪んで見えて読むことができないなどの症状もあります。

日常生活で困るのは、

・カメラのフラッシュ
・テレビやパソコンの画面を見られない
・特定の色や、動きをしているものを見つめ続ける
・動きが多いものを見ると調子が悪くなる

などです。

また、視覚過敏であるがゆえに、一度見たものは忘れない能力が備わっている場合があり、プラスに働くこともあります。

視覚過敏の原因は?

視覚過敏は、視力が悪い、または視力が良すぎるという目の異常が原因ではありません。

中枢神経系(視床下部など)の問題、生まれながらの脳障害が原因です。

ただ、白内障などの目の病気が原因となる場合もありますので、医師に相談して判断してもらいましょう。

対策や治療法は?

まずは、刺激を受けないことが大切です。

光や、色が少ない、落ち着ける場所を作りましょう。
外出先でも、そのような場所を見つけておくと安心です。

サングラスや遮光レンズをかけることも効果的です。

帽子を目深にかぶることでも光を遮ることができます。

パソコンやテレビなどのの画面は、明るさを暗く設定します。
蛍光灯も暗めに設定します。

人ごみで不調になる場合は、人ごみに一人で行かせないようにします。

また、疲れると視覚過敏が強くなるので、早目に休息を取り、疲れを溜めないようにしましょう。

薬物療法もありますが、視覚過敏の強い症状の時に処方されます。

子供の感覚過敏~嗅覚過敏(鼻)~

どのようなにおいがダメ?症状は?

好きなにおい、嫌いなにおいがありますが、嗅覚過敏の子供は嫌いなにおいが我慢できず、強い不快感を覚えます。

耐えられなくなり、パニックを起こしたり、逃げ出したり…。

頭痛や吐き気を起こすこともあります。

嫌いなにおいは、それぞれまちまちですが、例えば、

・動物園のにおい
・土のにおい
・洗剤のにおい
・人の体臭
・車中のにおい
・花や植物のにおい
・食品のにおい

 などがあります。

嫌な「におい」には個人差があり、いいものと悪いものがあります。

ただ、傾向としては、どちらかと言えば一般的に「くさい」と表現されるようなにおいが多いようです。

嗅覚過敏の原因は?

他の過敏症状と同じく、中枢神経系(視床下部など)の問題、生まれながらの脳障害が原因です。

他には、身体の変化や精神的異常の場合もあるので、受診して判断してもらいましょう。

嗅覚過敏の対策や治療法は?

におわないようにするのが第一です。

マスクをかけるとにおいが軽減されます。

自分の好きなにおいを持ち歩き、におってリラックスすることも必要です。

ダメなにおいのある場所へ近づけないように心がけます。
例えば、

お風呂や洗濯場などの洗剤類は、においの少ないものを購入する。
スーパーやデパートなどの食品売り場や、化粧品売り場など、においがよくする場所は避ける。

などです。

医師に処方してもらった点鼻薬を使い、においを感じる細胞に点鼻することで、ある程度においを抑えることもできます。

子供の感覚過敏~聴覚過敏(耳)~

どのような音が苦手?症状は?

 聴覚過敏の子供は、他の人には何でもない音が苦痛に感じたりします。

・ドアの開閉音
・子供や赤ちゃんの泣き声、笑い声
・人の声、くしゃみ
・食器がふれ合う音
・時計の秒針の音
・スピーカーやマイクの音
・緊急車両のサイレンの音
・カミナリ
・花火の音

など、生活で起こる様々な音に対して過敏になります。

「突然の大きな音」などは特に苦手です。

苦手な音はそれぞれ違いますが、その音により、集中力が切れたり、パニックになったり、気分がすぐれなくなるなどの症状を起こします。

また、授業中に聞こえた苦手な音で先生の話が聞き取れなくなり、授業についていけないことがあるなど、会話に問題を抱える場合があります。

聴覚過敏の原因は?

他の過敏症状と同じく、中枢神経系(視床下部など)の問題、生まれながらの脳障害が原因です。

他には、音を伝えたり、強弱を調整するシステムがうまく機能していない場合があります。

自律神経の乱れも原因になる場合があるようです。

聴覚過敏の対策や治療法は?

★苦手な音がする場所に近づかない
★苦手な音がしたら、はなれる
★苦手な音がしないように、遮断する
★苦手な音を紛らわせる音楽を流す
★花火や運動会といった行事の予定を確認しておく
といった方法を取ります。

具体的には、
イヤーマフ、耳栓、ノイズキャンセリングイヤホンなどを用います。

それぞれ音をさえぎる「遮音率(しゃおいんりつ)」が違うので、症状や場所、体調などに応じて使い分けます。

こちらがイヤーマフといわれるものです(クリックで値段などが確認できます)

他にも、ヘッドホンっぽくない、布製のイヤーマフもあります。
Amazon「イヤーマフ」商品一覧はこちら

ノイズキャンセリングイヤホンは、見た目は普通の音楽を聴くイヤホンと同じです。
目立たないコードなしのタイプなどもあります。
ノイズキャンセリングイヤホン

他には、

・テレビを見たい場合は字幕を付け、音を消す
・外出する場合は人のいない場所を選ぶ
・騒がしい場所ではイヤホンで好きな音や音楽を聴く

などの対策を取ります。

また、疲れていると聴覚過敏の症状が強くなるので、早めの休息をとることを心掛けます。

治療法としては、耳鼻科系の病気の場合はその部分の治療を行います。

また、心療内科や精神科では精神を安定する薬を処方してもらえます。

子供の感覚過敏~味覚過敏(口)~

どのような味が苦手?症状は?

 味には、5つの味があります。

・甘味
・苦味
・旨味
・酸味
・塩味

味覚過敏の子供はこのいずれか、または複数が苦手だったり、強い拒否を示したりします。

・味が違うと怒ったりすることもあります。
・同じ味を食べ続けることもあります。
・味だけでなく、納豆やトロロなどのネバネバや、天ぷらのサクサクとった食感を嫌がる場合もあります。

味が苦手なだけではなく、飲み込めない、吐き気がするなどの症状が出て、偏食へとつながっていってしまいます。

偏食は、「しつけやわがままが原因」と言われることもありますが、味覚過敏の子供は決してそうではありません。

味覚過敏の原因は?

他の過敏症状と同じく、中枢神経系(視床下部など)の問題、生まれながらの脳障害が原因である場合が多いです。

他には、舌の損傷や、雑菌の繁殖といった舌のトラブルが原因の場合もあります。

・亜鉛不足…亜鉛が足りないと味覚に異常が起きる
・唾液量の低下…唾液が減ると、味の成分が味覚に届かなくなる
・その他…口の中にカビが生えるなど

味覚過敏の対策や治療法は?

第一に、無理に食べないこと、食べさせないことです。そして、食べやすくなるような工夫をしましょう。

・苦手な味を使わない料理
・バイキング形式にして、好きな物を食べる
・細かく刻むなど、それぞれに合わせて調理する

給食などの場合は、先生と相談してお弁当にすることも検討します。
同じ食材でも、調理法が違うと食べられるばあいもあるので、試してみるとよいでしょう。
わがままで食べられないわけではないことを、周りの人に理解してもらうことも大事です。

工夫することで食べられるようになってきたり、成長と共に食べられる物が増えてくる場合もあります。

自分で調理する、自分でメニューを決めるなど主体的に関わると、より食事を楽しめるようになります。

また、野菜などの場合、自分が頑張って育てて収穫したものがきっかけで食べられるようになったという事例もよく耳にします。

また、舌のトラブルは、味覚をきちんと伝えるために必要な「亜鉛」が不足していることが原因の場合もあります。

亜鉛不足の時は医師と相談して亜鉛のサプリメントを摂る治療法もあります。

亜鉛サプリメントは薬局や、ネット通販でも手軽に手に入れることができますが、
乳幼児の摂取は避けたほうがよい商品もありますので、対象年齢などの注意書きをよくお読み下さい。
Amazon「亜鉛 サプリ」商品一覧はこちら

小さい子供には、ぶどう味風味でラムネのように噛んで食べられるこの商品がおすすめです。対象年齢は1歳以上とのこと。

亜鉛チュアブル「のびあ」はこちら

子供の感覚過敏~触覚過敏(手)~

どのような感触が苦手?症状は?

人との接触、ある特定の物との接触など、体に触れることを嫌がります。
・人にさわられると過剰な反応をしてしまう。
・握手はハグなどができない。
・帽子、マスク、下着、靴下などを身につけたがらない
・砂や水の感触を嫌がる
・自分からは触るが、相手に触られると嫌がる
・耳かきや爪切りを嫌がる
これらは一例ですが、我慢できるものではなく、生理的に嫌いなのです。

しつけなどで良くなるものではありません。

肌と肌が触れ合うだけでも、針で刺されたような痛みを感じる場合があるようです。他人からはなかなか理解されづらいでしょう。

触覚過敏の原因は?

他の過敏症状と同じく、中枢神経系(視床下部など)の問題、生まれながらの脳障害が原因であることが多いです。

他には、身に着ける衣服や、就寝時や入浴時の環境、精神状態、その時の体調などが原因になる場合があります。

触覚過敏の対策や治療法は?

まずは、皮膚科を受診し、症状や原因を特定しましょう。
そして、できるだけその原因を取り除くよう心がけます。

例えば身につける物(下着など)であれば、自分の苦手な素材を理解することが大切です。

・チクチクする
・スベスベする
・ザラザラする

など、これらの苦手な素材を避けて着用すると良いでしょう。

また、こまめに保護クリームを塗ったり、入浴剤を工夫したりする方法もよいでしょう。

無理に苦手な素材に触れる必要はありません、無理をしないことです。

成長して中枢神経系が発達してくることにより、自然と治る場合もあります。

感覚過敏の子供の場合、人との接触が苦手になってしまう場合もあります。

その場合はどうしても人との接触を避けてしまいがちですが、
周りの人に感覚過敏であることを伝え、理解してもらうと、一緒に楽しく過ごすことができるかもしれません。

その他の感覚過敏・感覚異常は?

・平衡感覚異常・・・車やバス・エレベーター・遊具などの乗り物を嫌がる・怖がる・酔ってしまう。
・温度覚異常・・・極端に暑がりであったり、寒がりである。季節感のない服を着たりすることも。
・痛覚異常・・・痛みに対してすごく敏感または鈍感である。普通の人なら耐えられる痛みでもひどく痛がったり、
ケガしても鈍感で、防衛反応が働かずに大けが・重症となる場合もあります。

管理人