シュタイナー教育をうけると発達障害児になるという噂を見聞きしますが本当なのでしょうか。また逆に受ける時期や受け方によっては自閉症スペクトラム、ADHD、アスペルガー症候群などの発達障害児がシュタイナー教育で症状が緩和する効果もあるらしいのです。詳しく見ていきましょう。
ルドルフ・シュタイナー(オーストリア・哲学者)が提唱した、教育実践や教育思想に基づいた教育を、シュタイナー教育と言います。
シュタイナーは独自の思想を基に、1919年、ドイツで工場労働者の子供たちのために「自由ヴァルドルフ学校」を設立します。
そこで、知的な学習だけでなく、ひとりひとりの個性を生かすための、総合芸術としての教育に取り組みました。
シュタイナー教育にはメリット・デメリットあり、賛否両論あります。
これから特徴をみていきますが、日本にピッタリと合うわけではないので、良い点だけを取り入れていくとよいのではないでしょうか。
シュタイナー教育は、
という特徴があります。
また、人間の成長には7年の周期があると考えています。
シュタイナー教育は人間の成長を、
の7年ごとの周期に分けて考え、それぞれの段階に合わせて教え方を変えていきます。
感性・感情を育てる【芸術】を大切にし、国語や算数といった勉強にもリズムなどを取り入れる独特な教育法を行います。
シュタイナー教育では、芸術面を重視して、
オイリュトミー、フォルメン、造形絵画、童話、物語、詩、演劇、合唱、器楽演奏など幅広い芸術教育
をとりいれていきます。
★オイリュトミー:踊りを通して、惑星・天体・地球が行う運動を、人間が表現して、受け入れていく授業
★フォルメン:言葉で言い表すのは難しいのですが、簡単に言うと「物や、人、生き物などと、それぞれの関係を理解する授業」のようです。
幼いころからの知的な教育はしません。
現代ではテレビやゲーム、スマートフォンが普及し、小さな子供の視力や思考力の低下が懸念されています。
子どものイメージを膨らませるために、お話しのみで物語を伝え、絵本や紙芝居は使いません。
テレビや映画、ゲームなども基本的に禁止です。もちろん、スマホも禁止です。
感受性を育てるために、外に出て自然に触れ、体全体で感じることを大切にします。
遊ぶおもちゃも、天然の木、シルクなど本物を厳選します。
シュタイナー教育では、
小中等部~高等部までの12年制の一貫教育を行っています。
また、小中等部である小学1年生からの8年間は、担任が変わりません。
担任の先生が同じである理由は、
長期間に渡り子供と関わることで「子供にあった方法を探し、考察するため」です。
また、クラスの生徒も同じことが多く、親密な関係を築くことができます。
「エポック」と呼ばれる、主要教科から1教科を選び、数週間学ぶ時間があります。
集中して1つの教科を学習しながら、知識を深めていきます。
教科書を使わず、授業内容のたびにノートを新しくして、自分で授業の内容を書き込んでいく方法を行っています。
シュタイナー教育では、テストや、点数で評価を行いません。
通知表のようなものには、どんな子供であり、どう育ってきているか、どれくらい理解しているかといった成長プロセスが記載されます。
義務教育の面では、居住区の学校が在籍校となり、卒業校となります。
入学の時点で、居住区の学校にシュタイナー教育のスクールへ通う事情を話し、
定期的に、学習内容や到達度などをまとめ、伝える必要があります。
上で見てきたように、シュタイナー教育は、ドイツで生まれた独特な教育法であるためか、
シュタイナー教育を受けた子供が、一般の学校へ来た場合、なかなかなじめなかったり、問題行動を起こしていたという話があります。
実際に「東京シュタイナーシューレ」という学校で、シュタイナー教育を受けた
【俳優の斉藤工】の話では、
公立の学校へ転校した際に、大きなギャップを感じたと語っています。
学校の先生も対応に困ったという話や、授業参観で問題行動(座るべき時に座らずに走り回ったり、みんなと違うことをやっているなど)を起こしていた子が
シュタイナー教育を受けた学校の子供であったなどというものなど様々な話があります。
しかし、シュタイナー教育を受けていない子供でも問題行動を起こしている子はたくさんいます。
問題行動を起こしている子がいて、たまたまその子がシュタイナー教育を受けていたということで、シュタイナー教育が原因だと考えるのは、あまり良くないのではないかと思います。
シュタイナー教育を受けたからといって、発達障害児になるというわけではないようです。
良い話では、シュタイナー教育を受けた子供は、感性が豊かでのびのびとしており、特に芸術面で力を発揮することが多いそうです。
学業よりも、芸術面をしっかり伸ばしたい場合は、シュタイナー教育を取り入れた、
幼稚園・保育園・保育所・学校などを検討するのもよいのではないでしょうか。
自閉症スペクトラム、ADHDなどを総称して「発達障害」と呼びますが、その特性や症状はある程度似ています。
【社会的なコミュニケーション(言葉など)の障害】
対人関係のコミュニケーションが難しい
【社会的なイマジネーションの障害(こだわりなど)】
目に見えない物のイメージを持つことが難しい
などの症状があります。
このために、スケジュールや物事をわかりやすく簡単にする必要があります。
自閉症スペクトラムの中に、アスペルガー症候群があります。
知能的には健常児と同じであり、一つのことに集中できる特性があります。
(逆に言えば、周りのことがよく見えません)
シュタイナー教育のエポック教育などでは、同じことを一気に集中して続けるので、アスペルガー症候群の子供には向いているかもしれません。
アスペルガー症候群の子供に限らず、
シュタイナー教育の中でも、向いていると思われるものがあれば、取り入れて、体験することは成長に必ずプラスになると思われます。
シュタイナー教育は、早期の知的教育をせず、芸術面や自然経験を大切にして、のびのびと過ごすことができるので、就学前まではかえって向いていると言えます。
実際、シュタイナー教育を取りいれているのは、
・幼稚園、保育園は多い
・小学校以降は少ない
のが実情です。
ただ、園によっては、発達障害の度合いにより、お断りする場合もあるそうです。
シュタイナー教育では個性を大切にしています。
発達障害児もそれぞれ個性を持っています。
合う、合わないは確かにあるかもしれませんが、それぞれの子供の特性をしっかりと理解して、シュタイナー教育を取り入れていくことが、発達障害児の成長につながっていくことでしょう。
シュタイナー教育は、興味があることを芸術を通して伸ばしていくことができます。
協調性を求められる学校にて、発達障害の影響で過ごしにくいと感じた場合には、
シュタイナー教育を取り入れている園や学校を検討するのもよいでしょう。
(効果には障害の種類や、性格などで個人差があります)