はやり目は「流行性角結膜炎」とも呼ばれ、とても感染力が強く流行しやすい病気です。
子供と大人のはやり目の初期症状の違いとピーク時の症状、熱やかゆみは出るのか、出席停止日数はいつまで・何日なのか、知人や家族にうつる確率やはやり目の原因や潜伏期間・後遺症、大人の症状や予防法や治療法、完治まで(治るまで)の期間などについて解説します。
★はやり目とは、流行性角結膜炎とよばれるように、
を指します。
国立感染症研究所によると、2018年5月7~13日の1週間でのはやり目(流行性角結膜炎)の感染者・患者数は、
1医療機関当たり1.17人であり、過去10年間で最多のペーストなっております。
はやり目は1年を通して流行しますが、若干増加傾向のある夏を前にして、
この患者数ですので、2018年はかなりの流行が予想されます。
★角膜というのは、目の球の前方、表面にある、血管がない無職透明な部分です。
★結膜というのは、まぶたの内側と、白目の表面にある薄い膜で、
それぞれの膜は「コの字」のように、袋のようにつながっています。
(まぶたを裏返すと見える部分と、白目の表面部分です)
★はやり目の原因は、「アデノウイルス」が引き起こします。
アデノウイルスは「かぜ(かぜ症候群)」を引き起こすウィルスの1つです。
アデノウィルスでも型が違うもので、鼻・のどから感染して、
のどに痛みが出る「プール熱(咽頭結膜熱)」も同じアデノウィルスが原因といわれています。
アデノウィルス自体には2017年7月時点で約80種類もの型があり、そのうち、はやり目を引き起こすのは5種類ほどです。
(主に8型・19型・37型。まれにB群11型やE群4型も原因となります)
一度感染した「はやり目のウィルス」に対して一応「免疫・抗体はできる」のですが、
再感染を防ぐほどではなく、潜伏期間や発症の期間が短くなる程度です。
そのため、再度同じ型のウィルスに再感染して再発することもありますし、
違う型にかかる可能性もあり、長引いてしまうこともあります。
★はやり目の潜伏期間は個人差があり、
通常は5日~2週間(5~14日)で、目の結膜炎・角膜炎の症状を発症します。
もちろん、短い場合や長い場合もあります。
★完治するまで、通常は発症から2~4週間程度、
角膜炎を伴うひどい場合は、数か月から1年程度かかる方もいらっしゃいます。
また、一度かかった型に対しては、潜伏期間や完治までの期間は短くなる傾向があります。
はやり目は、結膜炎と角膜炎を引き起こします。
個人差はありますが、
下に挙げる、はやり目(結膜炎・角膜炎)の主な症状
も合わせて判断してみてください。
目がかゆいだけの場合は、何かしらのアレルギーの可能性の場合が多く、
はやり目ではない可能性もあるので注意して下さい。
主な症状・ピーク時の症状には個人差があります。
初期症状として出るもの、出ないものや、
出るタイミングや、症状の重さ軽さも人それぞれです。
下の症状のどれかが当てはまっていれば、はやり目の可能性があります。
はやり目の大人と子供の症状の違いは
特にありませんが、
免疫の弱い新生児や、高齢者などでは症状が重症化する場合もあります。
どれも目の異常ですから、早めに眼科へ行き医師の診断を受けることを
おすすめします。
はやり目自体では通常、熱は出ないのですが、
熱が出ている場合「プール熱」の可能性もあります。
プール熱は、のどの痛みと、高熱、結膜炎(真っ赤な目)が特徴です。
以前はプールの水をとおして流行することが多かったのでプール熱という名前ですが、
プールでなくてもうつることがありますので注意が必要です。
日本のプールは塩素消毒をされていることがほとんどであり、
アデノウィルスによる感染は少なくなってきています。
幼稚園・保育園・保育所・託児所などで行われる、
簡易式の夏のプールなどでは、塩素消毒が不十分で感染することが
よくあるようです。
そのためか、後で述べるようにプール熱やはやり目(流行性角結膜炎)は、
1歳から5歳頃の乳幼児に多く見られるようです。
★年齢が1歳~5歳頃の乳幼児がなりやすいのですが、
大人を含めた幅広い年齢の方に見られる病気です。
★はやり目の流行時期は、最近では一年中になります。
ひと昔前の、1980年代・1990年代は「夏の7月下旬~8月下旬がピーク」という季節性がありました。
夏に若干多い理由としては、プールでうつることが多いためです。
はやり目の原因ウィルス自体は、【空気中をただよわない】接触感染なのですが、
感染力が強いため、医療機関や学校や職場、公共施設といったところで集団感染も良く起こります。
はやり目の主な感染原因・感染経路は、手や指・タオル・衣服・目薬・ティッシュペーパー・洗面器などです。
感染者の「涙」や、「目ヤニ(眼脂)」が、手や指・タオル・衣服、目薬、ティッシュペーパーなどに付着し、
それを元に家族や知人、他の人等に感染していってしまうのです。
眼をこすったり、触ったり、タオルでふいたりする機会の多いプールでも、感染がおこりやすいです。
水を介して感染する場合もありますが、アデノウィルス自体は塩素消毒が有効であり、
簡易式ではない、しっかりした日本のプールでは基本的に塩素消毒されているので
あまり神経質になる必要はないようです。
はやり目やプール熱を怖がって、子供がプールに入るのを避けるのは、おすすめできません。
健康面でもよくないですし、様々な菌やウィルスへの免疫力が育たない可能性もあります。
参考:赤ちゃんや子供にキレイすぎる環境は危険?免疫力低下でアレルギーや喘息皮膚炎などの病気リスク
はやり目の原因ウィルスは、空気中を漂ってうつることのない「接触感染」ですが、感染力が非常に強いです。
感染者が目をふくのに使ったタオルを使用すると、かなりの確率で感染します。
感染者が触ったものを触ってから、目をこすることでも、かなりの確率で感染します。
★感染者が触ってウィルスが付着している可能性があるものは触らないことが予防法になります。
そして、もし触ってしまった場合には、はやり目の原因のアデノウィルスに有効な
塩素系の「次亜塩素酸ナトリウム」を使用します。
★学校や職場、公共施設などで、不特定多数が触る可能性のある物に触った場合、
こまめに石鹸を使い手洗いをしましょう。洗った後も、自分専用のハンカチなどを使用します。
そしてできれば塩素系消毒も行うとよいでしょう。
★プールなどでは、他の人とタオルなどを共有しないように気を付けます。
★感染しないように、十分な睡眠とバランスの良い栄養摂取を心がけます。
手を拭くタオルや、水道の蛇口にも注意して下さい。
家庭内で家族が感染した場合は、二次感染がおこりやすいため特に注意が必要です。
感染者が使った
★タオルや洗面用具
★目薬
★箸などは共有しないようします。
★眼を拭くのに使ったティッシュペーパーはしっかり袋に入れて捨てましょう。
★感染者が触った可能性がある場所は、しっかりと塩素系消毒をします。
★感染者はお風呂を最後に入り、お湯を全て捨てるようにします。
★洗濯物もできれば分けて使用することをおすすめします。
特に目を拭いたタオルなどは塩素系消毒をするか、捨てましょう。
目のケアは、できれば使い捨て出来るティッシュペーパーの方が良いです。
治療法ですが、2018年現在、直接的な治療法はありません。
はやり目を引き起こす「アデノウィルス」に直接有効な抗ウィルス薬がないためです。
できることは、症状を軽くしたり、ひどくならないようにする「対処療法」のみになります。
医師の判断により、抗炎症や、抗菌効果のある目薬が処方される場合があります。
角膜がにごってしまうような場合にはステロイド剤入りの点眼薬が処方されることもあります。
個人の判断で市販の目薬を使用するのはおすすめできません。
治りが遅くなる可能性や、ぶり返してしまう可能性もあるためです。
必ず受診するようにしましょう。
★ウィルスを少しでも早く退治できるように、十分な睡眠とバランスの良い栄養摂取を心がけます。
片方の目が感染すると、他方の目も感染してしまうことが多いので、
早く治したいのであれば、感染しないように、
感染した側と同じ手で目をこすらないようにしたり、目ヤニや涙がつかないようにしたり、
手をこまめに洗い塩素系消毒をするように気を付けましょう。
★他の方にうつさないようにするためにも、前項で述べた予防法を守るようにします。
はやり目の後遺症としては、以下のようなものがあります。
★ステロイド剤入りの目薬の場合、適切に使用しなかった場合、
眼圧があがってしまう、ステロイド緑内障になってしまい失明の恐れも。
はやり目(流行性角結膜炎)は、学校保健安全法の定めにより、出席停止が定められている疾患です。
学校の出席停止日数は、明確な日数はなく【感染の可能性がなくなったと医師が判断】するまで
とされています。
会社への出勤停止期間は、会社の規定により異なります。
医師の判断が必要な場合もありますし、明確に定められていないこともあります。
会社の規定に詳しい方に相談するようにしましょう。